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欲の塊

ヒゲ

男の人のヒゲを抜くことがすきだ。
短い伸びかけの毛。濃い人なら朝剃って夕方の青い感じ。普通の人なら3-5日くらいの感じの。短いひょっこりはん、憎めないハニーだ。
あいつらを先の細い毛抜きで引っこ抜く。先の細い毛抜きじゃないとだめだ。アレじゃないと快感指数が下がる。しっかりキャッチして、グググ…っと感触を確かめ、ああ、キテるキテるよ今この辺だよ、まるで仮装大賞の採点の時のようにボルテージが上がっていき、
テッテッテッ…
テテテッ
テッテッテッテッテテテテテテーンテテテーンテテテーン!と盛大にファンファーレが鳴り響くその時、収穫する。濃いヒゲの人がいいな。豊作だと嬉しいから。

毛根や汚れのニュルリとしたオタマジャクシのようなきったねえ副産物をズルズル引き出すのがたまらん。血管が切れて奥から血が出てきたときはいよいよヤバイ。濡れる。どこがとは言わないが濡れる。若者言葉でいうと…エチエチ?エッチコンロ点火?エチチチチチチ?とでも言うのだろう。あの引っこ抜く瞬間はまさに点火。さながら俺は毛抜き界のマスタング大佐。バーストさせるぜ、ベイブレード。このブレード(毛抜き)は俺の分身。力の限り燃えろまわれBurning Soul。ウォウウォウイェーイ。

さて、最近ヒゲを抜く機会に恵まれず、というか相手がおらず、わたくし雛の三大欲求食欲睡眠欲毛抜き欲のうち、最後に挙げた毛抜き欲が限界に達しつつあった。毛抜き風俗があるならかけこみたい。もう誰でもいい。お前のヒゲを抜き散らかしてやろうか!!!
そんな折、実家に帰る機会があった。そう、つい最近ラジオの仕事のため名古屋に赴いた時だ。私は名古屋生まれ名古屋育ちの名古屋嬢であり、名古屋に家がある。ホテルを取らずに実家に泊まった。

お気づきだろうか。
あるんだよここには。ヒゲが。

父だ。

私の父は居間で寝てしまうクセがある。そう、寝ているスキを襲ってしまおうという魂胆だ。完璧だね、コナンもびっくりである。ソファで大口開けて寝ている父。口が臭いぞー。わあ、眉毛から長い毛ぴょんぴょんしてる。耳からもよくわからん毛が飛び出してる。ついでだから抜いちまえ。鼻毛も出てるから抜いてやった。

父「う〜〜〜」

明らかに苦しそうである。でもまだいける、まだ寝てる、いけるいける攻めろ!オフェンス!俺はフォワード!

ブッチブチ抜いていく。ティッシュにいい感じに山盛りになってきた。大豊作である。毛の価値の暴落だけが心配だが、とにかくいまはこの久々の毛抜きランデブーを存分に楽しもうじゃないか。父よ、今しがた我慢してくれ…

と浸っていたその時父がパッと目を開けキレた。

痛えなお前ふざけんじゃねえぞ!!!!
痛え痛えと思ってたらお前か!?!?!?
殴られてえのか!!!!!!!

ブチギレである。攻めすぎたようだ。
やっちまったね!
キレながら彼は自分の部屋に戻っていった。

テヘヘである。怒らせちゃったけど余は満足じゃ。これならしばらく毛を抜かなくても大丈夫だな。父に感謝、親に感謝、産んでくれてありがとう、育ててくれてありがとう、毛を抜かせてくれてありがとう。

さて、感謝もそこそこに考察に入るが、なぜかヒゲじゃないとダメなのだ。自分にないものだからかな、ヒゲじゃないとしっくり来ないの。しかしパートナーがいても拒否されることは多い。やっぱり痛いから嫌だと男は言う。まあそうだよね、私も痛いのは嫌だ。やっぱり毛抜き喫茶、毛抜き風俗は必要なんじゃないかとひしひし感じている。新たなビジネスとしていかがでしょうか。接客業に新たな風をふかそうじゃありませんか。経営者様方一度お考えください。

最後に。農家として、畑耕しヤーとして、男性のタンパク質の成れの果て、男性ホルモンの産んだ恵である伸びかけのヒゲを愛していることを読者の方々に伝えられただろうか。ところで、ヒゲを抜くことは、皮膚にとても悪いです。毛抜きで処理をしている方はできることなら肌負担の少ない髭剃りでご対応なさった方が、いいかと存じます。

でもヒゲ抜きってほんと、気持ちいいんだよなーーーーーーーー!!!!!!困ったもんだよ!!!!!!!!!!!